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映画・テレビ

2019年8月11日 (日)

存在のない子供たち

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2018年 レバノン、フランス


監督:ナディーン・ラバキー


俳優:ゼイン・アル=ラフィーア、ヨルダノス・シフェラウ、カクサル・アル=ハッダード、ファーディー・カーメル・ユーセフ


(ほとんどの俳優がキャスティング・ディレクターによって採用された一般人)


 


12才の少年が少年刑務所で見た生放送のTV番組に電話した。「両親を訴えたい、こんな世の中に僕を産んだから。」


少年は裁判所で両親と向き合う。少年は言った。「子供を育てることができないなら、子供を産むな。」


レバノンの貧民街。戦争や密入国などで出生届も身分証明書も持たないため、正規の仕事に就けず貧しい不安定な生活をする人たち。子供達は貧しい生活を助けるために必死で働いている。盗みもする。女の子は初潮が始まると少し金を持った男に嫁がされる。12才にしてすでに大人の心をもつ少年は決して特別な存在ではない。私はジョージ秋山「アシュラ」に繋がるイメージを持った。


原題「カペナウム」はアラビア語ではナフーム村、フランス語では新約聖書から混沌・修羅場の意味になる。


 


 

2019年7月27日 (土)

門真国際映画祭2019

2019年7月24日~28日
門真市立公民館
5日間通し券2000円
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2019年6月25日 (火)

誰もがそれを知っている

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2018年 スペイン、フランス、イタリア

監督:アスガー・ファルハディ(イラン)

俳優:ペネロペ・クルス、ハビエル・バルデム、エドゥアルド・フェルナンデス、バルバラ・レニー

 

私がこのイラン人監督の作品を見るのは「別離」「セールスマン」と「彼女が消えた浜辺」だけなのだが、この作品も日本人としての私の心に深く染みわたった。イランでNHK朝ドラ「おしん」が最高視聴率90%以上を記録したというのもよくわかる。思えば昔イラン人のアッバス・キアロスタミ監督の映画を観た頃から、ハリウッド製娯楽映画がつまらなくなった様な気がする。

一生懸命生きれば生きるほど孤独に不幸になっていくパコ。最後の最後に一瞬希望を見た気がした。

 

 

 

 

 

 

2019年2月24日 (日)

ママのお客

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2004年 イラン
監督:ダーリウシュ・メヘルジュイ
俳優:ゴラー・アディネ、ハサン・プールシラズィ
 
イラン人の普通の家庭を描いたコミカルな映画。「おもてなし」といえば日本人の専売特許のように思っている日本人が多いだろうが、イラン人のおもてなしはペルシャ時代からの伝統がある多彩な言葉に特徴がある。貧しい家庭であってもお客さんにはできるだけの「おもてなし」をするのも、そのために隣人達が協力するのもペルシャ以来の伝統。私の感覚では日本人よりも徹底している。
日本では民放のバラェティー番組などで、イスラム教について誤ったイメージが喧伝されていて、ほとんどがイスラム教を未開な因習にこだわった危ない宗教のように表現しているが、仏教にも大きく分けて上座仏教と大乗仏教と分かれていて、さらに国ごとに異なっているように、イスラム教も国や地域ごとに大きく異なっている。民放などで垂れ流されているのは、ほとんどが、サウジアラビアのワッハーブ家のイスラム教であって、彼らのイスラム教が本来のイスラム教に厳格な原理主義的なイスラム教ということではない。このことは井筒俊彦が口語訳した「コーラン」(岩波文庫)を読めばよくわかる。この映画のなかでも夫婦げんかして、妻を殴った男に、隣人達が「妻を殴るなんて、恥知らずな奴だ」と男の胸ぐらをつかみかかったり、お客さんに自分の辛かった過去を語る夫に「恥ずかしい過去のことは喋らないで」と妻が言うと、夫は「私はお前がどれだけ素晴らしい妻かということを語っているんだよ」と夫が言い返すところなど、アメリカ人もびっくりするような場面が出てくる。蛇足ながらアメリカの現状を少し紹介すれば、アメリカ人の女性に対する暴力は年間380万件あり、性的暴行は50万件。女性の6分の1がDV経験者なのだ。アメリカ人の86%が(2004年)キリスト教系(ユダヤ教1%やモルモン教1%を含む)。移民に多いヒスパニックはほとんどがカトリック教だが、カトリックはアメリカ人全体の23%。プロテスタントは50%。
※井筒俊彦は私が旅行した時の現地ガイドによると、イランとは国としては敵対的なエジプト人に有名な尊敬されている日本人の一人。
外国の文化・風習はニュース番組やバラェティー番組よりも、映画のほうがよりわかりやすいと私は思っている。

2018年11月27日 (火)

十年 Ten Years Japan

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2018年 日本 是枝祐和監督 総合監修 国際共同プロジェクト

「PLAN75」

監督:早川千絵

俳優:川口 覚、山田キヌヲ、牧口元美、

 

「いたずら同盟」

監督:木下雄介

俳優:國村 隼、大川星哉、辻村羽来、中野 龍

 

「DATA」

監督:津野 愛

俳優:杉咲 花、田中哲司、前田旺志郎

 

 

「その空気は見えない」

監督:藤村明世

俳優:池脇千鶴、三田りりや、田畑志真

 

 

「美しい国」

監督:石川 慶

俳優:太賀、木野 花

 

 

この映画のパンフレットによれば、「5人の若手映画監督達が、中国の影響を受けた10年後の香港を描いて社会現象となり、中華人民共和国では上映禁止となった映画『十年』をもとに、日本の若手監督たち5人による、日本の十年先の未来を描いたものらしい。

いきなり「PLAN75」で75歳になったら、経済的下層の老人達は、厚労省から安楽死を勧められる社会という設定で驚いたが、総体的にみると、若手監督によるオムニバス作品としてはかなり「大人しい」作品だったように思う。社会問題を扱った映画であっても、もっと「やんちゃ」したほうが面白かったように、爺さんの私は思った。

2018年11月14日 (水)

ガンジスに還る

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2016年 インド

監督:シュバシシュ・ブティアニ

俳優:アディル・フセイン、ラリット・ベヘル、ギータンジャリ・クルカルニ、バロミ・ゴーシュ、ナヴニンドラ・ベヘル、アニル・ラストーギー

インドのバラナシのガンジス河の畔で死を迎えるための家である「解脱の家」に入所した男とその家族達の物語。「解脱の家」のような、死を迎える人のための宿泊所は、遠藤周作「深い河」ではキリスト教のシスターが運営している家だったと思うが、「解脱の家」はヒンドゥー教徒のための死を迎える家。日本の旅行ガイドブックでは「死者の家」と表現されているのがこうした宿泊所だと思う。この家の壁には卍とシバ神を表す三叉の槍などが描かれているのだが、入所者を元気づける時や、死者を荼毘(火葬)する時もラーマを讃える歌を歌っている。この辺が日本人にはわかりずらい。シバ神の聖地であるバラナシのガートならば、なぜヴィシュヌ神の化身であるラーマを讃える歌なんだろうかと思うが、パンフレットには何にも描いていないので、特別な意味はないのかもしれない。私の知識不足なのかもしれない。やはり直接インド人に聴いたほうがよさそうだ。

現在でもインドは女性にとって世界で1番危険(10番目はアメリカ!)だそうだが(イギリスの研究所が毎年発表している順位)、この映画のなかでは、若い女性が婚約を断って就職するのを、彼女の祖父が認めて、怒る父親をなだめたりと、少しずつ変化があるようだ。私が観光旅行でインドに行った時も、観光地で積極的に声をかけてきたのは若い女性グループだった。若い男どもは写真を撮ったあとへらへら笑って「マニー(お金)」と言ってきたので、「うるせー」と日本語をつぶやいてやり過ごしたが、どこの国でも地域でも、本やネット記事だけではその国や地域の人たちの本当の姿は判らないと、最近しみじみ思うようになった。そういう意味でも映画は面白い。

2018年11月 7日 (水)

彷徨える河

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2015年 コロンビア、アルゼンチン、ベネズエラ

監督:シーロ・ゲーラ

俳優:ヤン・ベイヴート、ブリオン・デイビス、アントニオ・ボリバル・サルバドール

 

コロンビア南東部のアマゾン上流域、20世紀前半に生きた一人のシャーマンと西洋から来た探検家の物語。アマゾン川流域では、19世紀中頃からゴムのプランテーションのために、自然が破壊され、原住民の心も破壊されていた。戦争が更に多量のゴムを必要としたために、アマゾンの奥地まで破壊されていく。そんななかで、アマゾン河流域には様々な人びとが移り住むようになった。原住民たちは閉鎖的なカトリック教団によって、村から孤児をさらわれたり、金で買われたりして、強制的に高い塀とライフルで閉鎖された施設で、言葉を奪われ(スペイン語以外の言葉は禁止)文化を奪われ、強制的に神の僕とされていた。カルト教団は教祖が王様のような小さな王国(聖域?)をつくり、現地の先住民を奴隷としていた。そうした中でシャーマンは西洋人に語る。「自然の声を聴け」

2018年10月23日 (火)

止められるか、俺たちを

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2018年 日本

監督:白石和彌

俳優:井浦 新、門脇 麦、山本浩司、藤原季節、奥田瑛二、寺島しのぶ

 

 

パンフレットより抜粋

<製作意図

映画が時代とともに失踪していた時代があった—。

一九六〇年代後半から七〇代初頭の若松プロがまさにそれだった。

その梁山泊に迷い込んだ一人の女性助監督。この映画は彼女を通してみた、若松プロの青春グラフティーである。

若松プロの映画はいつも「ここではないどこか」を探していた。彼女は果たしてそれを見つけることができたのだろうか?>

2018年10月18日 (木)

日々是好日

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2018年 日本

監督:大森立嗣

俳優:黒木 華、樹木希林、鶴田真由、鶴見辰吾、多部未華子

 

<私自身、完成した映画を見て、五感をふるいたたせてくれる映画だと思いましたし、光だったり、緑の青々しさ、雪のシーン、四季の美しさを感じられました。

お茶の映画ですけれど、茶道に関わっていない方も楽しめる映画だと思います。「すぐわかるものとわからないものがある」という私の好きな台詞があるのですが、この映画はまさに、すぐわからないものを経験することができる映画なんじゃないかと思います>

黒木華(Interview)

2018年9月25日 (火)

僕たちの家に帰ろう

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2014年 中国

監督:リー・ルイジュン

俳優:タンロン、グオ・ソンタオ、バイ・ウェンシン

遊牧民のユグル族の子供が主人公たちが、小学校の夏休みに、遊牧をしているはずの両親に二人だけで会いに行く物語。

かって王国の民であったユグル族は、現在絶滅しそうなほどに人口が減っている。そうした現代中国における、少数民族の問題と環境問題を扱った映画。

中国政府は、遊牧民を定住化させ、遊牧を畜産(畜舎飼育)に切り換え、、草原を家畜の飼料作物や農作物の耕作地に転換したため、それまで豊富だった地下水が激減し、農業的にも大きな問題となっている。さらに、かっての草原から豊富な地下資源が発見されたため、草原はあちこち掘り返され、環境問題を引き起こしている。そうした問題を遊牧民の子供達を主人公とした物語にしているので、かなりソフトに描かれている。

ユグル族がチベット仏教を信仰していることがこの映画で描かれているように、遊牧民には現在もモンゴル人を初めとして、チベット仏教を信仰している人が多くいる。中国政府がダライ・ラマを強権的に中国政府の操り人形のようにしようとしている理由には、チベットの分離独立の芽を摘むということだけでなく、中国国内・外のチベット仏教信仰者に対する統制の意味もあると、私は思っている。

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